【Law Practice 民事訴訟法】19:間接事実の自白

Law Practice 民事訴訟法
この記事は約2分で読めます。

1 Xは第1審において,本件家屋を買い受けたことを認めている(以下,「本件陳述」という)。本件陳述が「自白」(民事訴訟法179条)に当たるのであれば,Xは自白の当事者拘束力が及び,これを撤回することができない。そこで,本件陳述が「自白」に当たるかを検討する。

(1) 「自白」とは,期日において,相手方の主張する自己に不利益な事実を認めて争わない旨の当事者の弁論としての陳述をいう

また,自白の拘束力が生じる「事実」の範囲は,間接事実や補助事実が証拠と同様の機能を有しており,それに自白の拘束力を及ぼすと自由心証主義(民事訴訟法247条)への制約を加えてしまうことから,主要事実に限られると考えるべきである。

(2)ア Yは,XがYに対し,当時有していた500万円だった債権を,Aに譲渡したことをもって,もはやXが当該債権の債権者ではなくなったこと(債権喪失の抗弁)を主張している。この場合に,Yが抗弁としてXに主張すべき要件事実は,①当該債権の発生原因事実,②当該債権の移転原因事実,である。

イ そして,本件家屋を買い受けた旨の陳述は,XがAに対し,当該債権を移転した背景を示す事情であり,当該債権の移転(上記②)を推認させる事実といえる。すなわち,本件陳述は,主要事実を推認する間接事実に当たる。したがって,自白の拘束力が生じる「事実」の範囲には含まれない

(3) 以上より,本件陳述は「自白」に当たらない。よって,自白の当事者拘束力は及ばず,Xは本件陳述を撤回することができる。したがって,裁判所は,渡担保の事実を認定した上で,債権譲渡の事実を否定してXの請求を認めることができる

コメント

タイトルとURLをコピーしました