【Law Practice 民事訴訟法】基本問題41:共同訴訟人独立の原則

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第1 設問前段について

1 共同訴訟人の一人の訴訟行為は,他の共同訴訟人に対しては,影響を及ぼさない(共同訴訟人独立の原則,民事訴訟法39条)から,Y1やY3が主張した内容は,Y2の訴訟に影響しないのが原則である。

そのため,本件では,Y2が何らの主張も行っていない以上は,Y2が本件建物を所有していた期間に,Y1やY3がY2の代わりに,Xに対して,賃料相当額の金銭の支払を行っていたことが主張されたと考えることはできない

よって,Y2の訴訟においては,Y2が上記の点を主張していない以上,裁判の基礎とすることができない(弁論主義第一テーゼ)

2 しかし,Y2の訴訟は,Y1やY3の訴訟とは事実関係や法律関係を共通のものとしているため,Y1やY3についての訴訟との審判統一を図る必要性もある。そこで,Y1やY3の主張の効果をY2の訴訟に及ぼすべきではないか審判統一のために、一方の共同訴訟人の主張が他方の共同訴訟人の訴訟に影響を及ぼすと考えられないかが問題となる。

(1) 通常共同訴訟とは,本来個別に訴訟提起できる事件を併合審理する形態をいい,事実上の審判統一が期待されるにすぎない

事実上の審判の統一が期待されるにすぎない以上は,弁論主義はあくまでも個別の訴訟ごとに妥当し,当該訴訟の当事者の弁論から顕出した訴訟資料のみが裁判の基礎となると考えるべきである。

すなわち,他の共同訴訟人がそれを援用しない限りは、他の共同訴訟人が影響を受けることは,弁論主義に反し,認めることができない

(2) 本件でも,Y2が援用しない限りにおいては,Y1やY3の主張がY2の訴訟に影響を与えることはない

2 以上より,裁判所は,XのY2に対する請求については,請求認容判決を下すべきである

第2 設問後段について

1 XがY1やY3の訴訟においてY2が本件建物を所有していた期間に,Y2の代わりにY1やY3がXに対して賃料相当額の金銭の支払を行っていたことについて,争わなかった場合には,裁判上の自白(179条)が成立する

しかし,裁判上の自白の効果に関しても,「共同訴訟人の一人について生じた事項」にすぎず,「他の共同訴訟人に影響を及ぼさない」(共同訴訟人独立の原則)。

そのため,設問前段の場合と同様に,Y2の代わりにY1やY3がXに対して賃料相当額の金銭の支払を行っていたことに関する自白の拘束力は,Y2間の訴訟には及ばない

2 以上より,裁判所は,この事実を認定してXの請求を棄却することはできない

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