【Law Practice 民事訴訟法】42:主観的予備的併合 (同意審判申出共同訴訟)

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1 本件では,Xは主位被告Y1に対する請求が認容されることを解除条件として,予備的被告Y2に対する請求に関して,判決を求めようとしているが,このような訴えは許されるかを検討する。

主観的予備的併合とは,複数の請求が論理的に両立しない関係にあり,そのいずれが認定されるかが定かではない場合に,共同訴訟の形態でそれぞれの請求に優先順位をつけて審判を申し立てることをいう。そして,本件訴訟におけるXの訴えの提起は,これに当たる。それでは,主観的予備的併合は許されるか

(1)ア 予備的被告に生じる著しい不利益

予備的被告に対する訴訟は,主位被告に対する請求の認容判決が確定した場合には,予備的被告の同意なく遡及的に訴訟係属が消滅する。これは,予備的被告の訴訟上の地位を著しく不安定なものとするため,当事者間の公平に反し,妥当ではない。

イ 主観的予備的併合の趣旨との関係

主観的予備的併合を認める必要性は,原告が両請求を別で提起することで,両方で敗訴する矛盾的状態を回避することにある。

しかし,主観的予備的併合での訴え提起を行った場合,通常共同訴訟(民事訴訟法38条)として扱われるにすぎず,主位被告又は予備的被告の一方に対する上訴の効力は,他方には及ばない(共同訴訟人独立の原則,民事訴訟法39条)。それならば,上訴がなされた場合には,併合関係が維持されるわけではなく,裁判が不統一なものとなるおそれは除去できないため,上記必要性を実現することは困難である。

また,上記必要性は,明文で定められた同時審判申出共同訴訟(民事訴訟法41条1項)によってみたされるため,あえて上記のような弊害が生じる主観的予備的併合を認める必要は乏しい。

ウ そこで,主観的予備的併合は許されないと考えられる。

(2) 本件でも,前述のような訴えを行うことは許されない

2 以上より,本件のような形で判決を求めることはできない

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